指針的な研究活動
多面的機能問題
食料安全保障の考え方について,田代は,途上国,先進輸出国,先進輸入国等の国のポジションにより異なり,一国内でも立場によって異なるとして,くその違いは端的にいって自給率との関連である。自給率は当然に農業の多面的機能にかかわる〉。よってフードセキュリティと食料自給率,そして農業の多面的機能を関連させて考える事が重要だとしてい言宍
農水省は,経済財政諮問会議の農業・FTAワーキングGに国境措置を全廃した場合,農業産出額42%減,国内自給率12%に雇用375万人減と国民・地域経済に与える影響について報告した。また,同じ資料では,農作物作付面積が272万ha減少し,農業の多面的機能(洪水防止機能67%減,河川流域安定機能や地下水涵養機能90%減)についても発表している。田代は,く国境措置撤廃の是非は,わが国の食料安定供給業のあり方に止まらず,この国のかたち,日本人の生き方そのものに大きくかかわる問題〉であり,く自給率向上を通じる食料安全保障の隠れた究極の意義は,多面的機能の確保を通じる国土安全保障にあるとさえいえる。その意味で自給率と切り離しか食料安全保障論は『亡国の食料安全保障論』である〉(同論文)と結論づけている。
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雇用、労働への影響
イタリアでは,マクドナルド・ハンバーガー店の若い女性従業員がストライキで立ち上がった。その要求ぱ従業員を人間として扱之”で,このストライキは半年も続いた。多国籍アグリビジネスの価格競争は,食資材コストの低減とともに雇用労働のコスト低減によってなりたっている。マクドナルドの「59円バーガー」は,こうした世界一安い食材と低賃金労働者によって実現された。
パート・アルバイト労働に大きく依存するファーストフード店やコンビ二等の食品産業と流通企業は,低賃金が低価格を支えると共に収益維持の大きな要因である。さらにコンビニは,FCオーナーと従業員の過酷な労働条件によって24時間営業をなりたたせている。まさに食関連産業の劣悪な労働条件によって,消費者の便利な生活・低価格と多国籍アグリビジネスの利益が確保されているとも言える。

